Ⅺ. 一般症状
ニームは広範囲に及ぶ疾病や慢性疾患に対して効果があります。これら疾病の多くは、利用可能な薬物治療にあまり反応はしていません。ニームは万能薬ではありませんが、ニームはこれらの病気を予防し、治療する重要な因子になりえます。中には、何世紀にもわたって、ニームで治療に成功している病気もあります。ニームエキスから作られた処方薬は、インドでFDA(アメリカ食品医療品局)に相当する政府機関より承認され、これら症状の治療に利用されています。
1.
糖尿病
糖尿病は、不治の慢性代謝疾患であり、膵臓がもはや十分インシュリンを産出できない場合に症状が現れます。血糖値が急速に上昇し、さらに身体が糖を含んだエネルギーを利用できないと衰弱を引き起こし、最終的には意識不明に陥ります。25〜74歳の人々にとっては失明の原因になり、神経、腎臓、心臓、欠陥に障害が発生し、重症の場合は足を切断せざるを得ない場合もあります。
ニームの葉は、糖尿病治療に対して伝統的なハーブであり、科学的にも効能および予防効果が証明されています。
( Alam et al : 1989 )
( Murty et al : 1978 ) ( Chakrabarty : 1984 ) ( El-Harwary et
al : 1990 )
また、血糖降下剤として歴史的に使用されている他の植物と比較したところ、最も強力な活性を有していることが証明されました。
ニームの葉とオイルに血糖降下作用が存在します。ニーム茶を飲ませた実験では、非インシュリン依存性糖尿病に対し、有意にインシュリン必要量を低下させました。
苦味の少ないニーム茶を毎日2杯飲むことは、有意にインシュリン必要量を減少させるでしょう。
別の実験では、患者に5gの乾燥ニーム葉のカプセルを服用させたところ、インシュリン必要量が20〜50%低下したことを明らかにしています。
これらの研究は、たった一枚のニーム葉を毎日噛むことでインシュリン注射を完全にやめることができるという糖尿病の事例報告に信用を与えます。
インシュリン必要量に関するニームの効果を調べた多くの実験に基づき、インド政府は糖尿病のニーム錠剤を製薬会社が販売することを許可しています。(調合剤は、本当にニーム葉の粉末以外なにものでもありません。)
<処置方法>
ニームの葉を使った糖尿病の局所的治療は、ニームに対する個人の耐性を調べた後、ニーム葉カプセル(ニーム葉0.5g)を朝の空腹時に1錠、夕食後に1錠服用することである。
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2. 痛風
痛風は「ぜいたく病」とも言われたように、美食や大酒が関係した病気であり、毎晩のように晩餐会を開いてぜいたくをした上流階級の人がかかる特別な病気だと考えられていました。しかし、最近では食生活が変化し、ごく一般的な病気へと変わっています。「痛風」は約70%が足の親指のつけ根が痛くなります。それ以外にはひじやひざ、かかと、足の親指以外の関節、くるぶしなどで発作が起こり、最初の発作では約90%が足の指の関節周辺で起こると言われています。
<処置方法>
1週間以内に痛風を排除できるだろう。2リットルの水の中に5gのニームの葉を入れ、20分間沸騰させて作ったニーム茶を1日に3回、グラス一杯づつ飲みなさい。
3. 関節炎
関節炎は多種の関節の病気を包含する広義の用語です。自己免疫疾患や感染、関節の磨耗の結果、または単なる炎症の場合もあります。しかし、通常は、炎症、あるいは原因にかかわらず治療は必要な炎症に関連した痛みを言います。
ニームは、多くの方法で関節炎を治療するのに役立ちます。ニームの抗細菌作用が感染原因菌を殺す一方で、炎症抑制作用や鎮痛作用が症状を緩和します。ニームはまた、病気の進行に直接影響を及ぼす免疫系のバランスを形成することにも役立ちます。
いくつもの研究で、関節炎治療に関するニームの有用性が示されています。ニーム茶は、一貫して抗炎症作用を有意に及ぼすことが明らかにされています。ある研究は、カテキン(抗炎症作用を有していると知られる)含有のフェノール性化合物が証明された抗炎症効果を産出しているかもしれないと示唆されました。別の研究では、ニーム葉に抗酸化、抗炎症、抗細菌作用を有するフラボノイド等が発見されました。
関節炎の患者の多くは、治療の選択として、コルチコステロイドが処方されます。これは主に炎症を抑えるために使用されます。この種の治療を行ったときに他の身体部位へ及ぼされる影響を調べた実験では、治療開始から12〜24ヵ月の間に著しい骨減少がしばしば生じていました。骨量の減少は、骨粗しょう症の発症や骨折にもつながります。ニームは、抗炎症効果があり、骨減少を起こしません。
<処置方法>
関節炎の治療は、伝統的に苦味の少ないニーム茶を飲むことと、必要に応じて、温めたニームクリームを患部に塗布することを組み合わせる。
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4. リウマチ
リウマチは、筋肉や関節に痛みや強直を引き起こす症状すべてに対して用いられる用語です。ニームの葉の活性成分は、現在用いられている有名な治療薬フェニルブタゾンやコルチゾンと比較されてさえ、突出した抗炎症活性を有し、プロスタグランジンメカニズムに基づく作用により痛みを緩和し、有意に急性浮腫を減少させました。ニームクリームを温めて局所的に塗布すると共に。苦味の少ないニーム茶を飲むことで、これらの症状に関連した痛みは顕現されるでしょう。
<処置方法>
苦味の少ないニーム茶を1日1回2週間飲むことで、感染の抑制と共に防御能が増加するはずである。その後は、さらに1日おきに2週間ニーム茶を飲みなさい。
5. 炎症
炎症を緩和するために、何世紀にも渡ってニーム葉や樹皮を経口で摂取し、ニームクリームを局所的に塗布しています。ニームの葉に発見された※:ニインビネートナトリウム(sodium
nimbinate)と呼ばれる化合物が炎症組織を著しく緩和することが明らかにされています。
※:ニインビネートナトリウム(sodium
nimbinate)・・・ 利尿、抗関節炎
<処置方法>
炎症部位にニームクリームを局所的に塗布することで、痛みや炎症そのものが和らぐ。苦味の少ないニーム茶を飲むという補助的な治療で、身体に、炎症の原因を軽減し、治療する手助けをする化合物を与えるだろう。
6. 疲労(慢性)
慢性疲労の原因は何か、誰にもわかりません。過度のストレス、流行性の真菌感染、あるいはエプスタインバー・ウイルスといった学説があります。ニームエキスは、ストレス緩和機能と同様に、真菌、ウイルスの両方の感染に対する効能を証明しています。ニームはまた、細胞レベルで免疫反応を強化するため、疾病を引き起こす物質に有効です。
<処置方法>
苦味の少ないニーム茶を1日に2回2週間飲むことで、身体が症状と闘うことを手助けする。症状が続く時は、濃い(ニーム葉2g)ニーム茶を3日間1日2回飲み、その後4日間苦味の少ないニーム茶に戻る。
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7. ガン
器官や組織で無制限に細胞が成長するガンは、死亡や苦痛の主な原因です。南アジアの植物学者は、腫瘍を小さくするため、何世紀もの間にニームを利用してきました。インドやヨーロッパ、日本の研究者は、現在、ニームの樹皮、花、葉、種子オイルに発見された多糖類やリモノイドが腫瘍やガンを小さくすることを明らかにしており、リンパ性白血病に対して有効であることがわかりました。
一般に、ニームはガンに対して効果があるとされています。腫瘍の周囲にニームエキスを注入すると、2〜3週間で著しく腫瘍が小さくさります。また、皮膚ガンは、特にニームに反応します。毎日、ニームクリームを塗布することで2〜3ヵ月後には皮膚ガンが消失したという報告がたくさんあります。
ニーム葉エキスは、抗酸化性や解毒酵素産出によってガン原因物質から防御します。
アーユルヴェーダの医師は、乳ガンや消化器のガンの際、標準的な化学治療と共にニームを補助的に使います。患者は、朝の空腹時にぬるいお湯と一緒に8〜10枚のニームの葉を噛むように指示され、医師は、白血球数の増加を観察しています。
<処置方法>
ガンは、『全身』の病気として、標準治療および自然治療に加えて適切な食事と軽い運動を組み合わせた治療を行うべきである。皮膚ガンは、毎日、ニーム茶を飲むと共に、患部にニームオイルを塗布することで治療する。身体内部のガンについては、毎日2回ニーム茶を飲むことで、白血球数が増加し、ガンの成長が抑制されるだろう。病気が進行している場合には、ニーム茶の代わりに、食事の直前に※:ベジキャップ(植物性ソフトカプセル)にニームオイルを5滴経口摂取する。
※:ベジキャップ(植物性ソフトカプセル)・・・トウモロコシ由来のでんぷんであるコンスターチと海藻由来成分であるカラギナンが主原料の植物性ソフトカプセル。無味無臭で、飲みやすさ・喉こしのスムーズさに優れています。
8. 気管支炎
気管支炎は急性の呼吸器系炎症であり、通常、インフルエンザの合併症が原因ですが、喫煙者や大気汚染にさらされている人々によく見受けられます。牛に使った実験で、ニームオイルを餌に混ぜたところ、肺感染が有意に減少しました。ニームは炎症を抑え、細菌やウイルスのような病気の原因と闘うことが可能です。
<処置方法>
気管支炎は、煎じたニームの葉の蒸気を吸入すると共に、1日2回ニーム茶を飲むことと組み合わせて、時間をかけて治療する。蒸気には、精油と芳香族化合物が含まれており、吸入により炎症を鎮め、疾病作用物質を直接攻撃するだろう。ニーム茶を飲むことで、気道を拡張する化合物と共に解熱化合物や疾病と闘う化合物を全身に提供するだろう。
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9. アレルギー
アレルギーは、無害の物質に対して免疫系反応が悪化した状態です。反応副産物はヒスタミンで、アレルギー主症状を引き起こします。ニームは皮膚に塗布されるか、あるいは体内で摂取された場合にアレルギー反応を阻害します。ニーム化合物は、ヒスタミンによって生じる刺激を阻害し、皮膚発疹や気管アレルギーに有効です。
<処置方法>
ニームクリームやニームローションを塗布することで、発疹のかゆみや炎症、他の局所的アレルギー反応が止まるだろう。うずきや痛み、疲れなどの一般的なアレルギーの不快感に対しては、ニーム茶を飲むとよい。気道の症状がある場合は、煎じたニームの葉の蒸気を吸入すると共に、ニーム茶を組み合わせることで、アレルギー作用が弱まり、症状を取り除く手助けをするだろう。
10. 結膜炎
目の炎症は、細菌やウイルス、アレルギーによって引き起こされることがあります。ニームは、これらの原因それぞれに対して活性があるため、粉末状のニームの葉から作られた室温のニーム茶を点眼して治療します。
<処置方法>
2〜3日間、3時間おきに両目に2〜3滴ニーム茶を点眼するだけで十分である。就寝前にニームオイル添加のナチュラルクリームで目の周囲やまぶたを塗りなさい。
11. 口臭
通常、慢性口臭の理由として、細菌や感染、胃の不調があげられます。細菌による口臭が発生する最も共通した場所は舌の上面部で、無制限に細菌が繁殖し、細菌の消化作用によりガスを発生します。口臭の原因となる細菌は、被膜を形成するため、うがいで洗い流すことが難しく、こすり落とすか、ブラシをかけるかしなければなりません。いったん被膜が取り除かれ、細菌が顔を出すと、ニームエキスは簡単に細菌を死滅させるでしょう。
<処置方法>
ニームの練り歯磨きやうがい薬は、証明された抗細菌化合物や抗ウイルス化合物が含まれているため、口臭を止めることができる。原因が口腔内感染である場合は、歯や歯肉をニームの練り歯磨きで磨き、その後、ニームエキスでゆすぐことで、感染を鎮め、治療を促進するだろう。胃の調子が悪くて口臭が生じている場合は、ニームの葉や新鮮なニームの種子の仁の摂取が、胃の不調を和らげ、胃酸のアンバランスを正しくするとして伝統的に推奨されている。
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12. 二日酔い
頭痛や胃の不調など、一般的な二日酔いの症状は、ニーム茶で緩和することが可能です。ニームは、血中グルコース濃度を“リセット”し、収縮した血管を拡張し、血圧を下げ、アルコールに対する身体反応を相殺します。
<処置方法>
パーティの2〜3日前からニーム茶を毎日飲むと、予防薬として非常によく効くという事例報告がある。アルコールを過剰に摂取した後は、ニームの葉10枚から作られたカップ一杯の温かいニーム茶が苦痛を軽減する。
13. 喫煙
ニンビディンは、ニコチンの痙攣作用を最大90%阻害しました。また、神経系へのニームの鎮静作用は、ニコチンが身体に及ぼす影響に対抗すると共に不安やニコチンへの欲求を減少させます。
<処置方法>
ニーム茶の形態、あるいは葉から経口摂取されるニームエキスは、ニコチンの影響を減少させ、喫煙者が中毒症状に陥ることを防ぐ。
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